一般社団法人の機関



一般社団法人の機関設計は以下のパターンが考えられます。

  1. 社員総会 + 理事
  2. 社員総会 + 理事 + 監事
  3. 社員総会 + 理事 + 理事会 + 監事
  4. 社員総会 + 理事 + 監事 + 会計監査人
  5. 社員総会 + 理事 + 理事会 + 監事 + 会計監査人

社員総会と理事は常に必須の機関です。
また、
「社員総会 + 理事 + 会計監査人」
「社員総会 + 理事 + 理事会」
という機関構成は、監事を置かず会計監査人を設置できないほか、理事会を設置した場合は監事を置かなければならないためできません。

設立時役員等の選任

設立時役員は定款で定めることができます。
定款で定めなかったときは、設立時社員は、公証人の定款認証後遅滞なく設立時理事を選任しなければなりません。
設立時役員等の選任方法は、設立時社員の議決権の過半数をもって決定します。
この場合、社員は1人につき1個の議決権を有しますが、定款でこれとは別段の定めをすることもできます。(特定の社員の議決権を2つにするなど)
理事会設置一般社団法人では、設立時理事の人数は3人以上必要ですが、理事会を設置しない場合は1人の理事で足ります。
また、監事設置一般社団法人・会計監査人一般社団法人においては、設立時監事・会計監査人を定款で定めることができますが、定款で定めなかったときは、設立時社員は公証人の定款認証後遅滞なく、設立時監事・会計監査人を選任しなければなりません。

社員総会

社員総会は、一般社団法人の構成員である全社員によって構成される、一般社団法人における必須の最高意思決定機関です。
当然、定款で定めても社員総会を置かないとすることはできません。
社員総会には、定時社員総会と臨時社員総会があり、定時社員総会は、毎事業年度の終了後一定期間に招集しなければならず、臨時社員総会は必要に応じて招集される総会で、招集時期が異なるだけで、これらは異なるところはありません。

理事・理事会

理事は、すべての一般社団法人で必須の機関です。
理事は、一般社団法人を代表します。
理事の人数は2人以上でもかまわないですが、理事会を設置する一般社団法人では、理事は3人以上必要になります。

代表理事

理事が2人以上ある場合には、各自が一般社団法人を代表するか、代表理事等を定めることができます。
代表理事を定めた場合、代表理事以外の理事は代表権を失うことになります。
なお代表理事の員数に制限はありませんので、例えば理事が10人の一般社団法人で、代表理事を3人とするようなこともできます。
代表理事は、一般社団法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。
代表理事を定めるか、理事全員が代表権を有するかは原則任意ですが、理事会設置一般社団法人では、代表理事を必ず定めなければなりません。

代表理事の選定方法

理事会を設置しない一般社団法人定款
定款の定めに基づく理事の互選
社員総会の決議
理事会設置一般社団法人理事会で理事の中から選定 

※理事会設置一般社団法人でも定款に別段の定めを置けば、定款の定めにより代表理事を選定することもできます。

監事

監事は原則任意で設置する機関ですが、理事会を設置する一般社団法人と、会計監査人を設置する一般社団法人では必須の機関となります。
監事は、理事の職務執行を監査する機関で、業務監査権と会計監査権を有します。

監事の兼任禁止

監事は、「一般社団法人理事」「一般社団法人の子法人の理事」「使用人」を兼ねることができません。監査を職務とする機関ですので、理事等と兼任すると、自分の職務執行を監査するということになってしまいますし、使用人等では、監事の独立性が害され、公正かつ適正な監査を担保できなくなってしまうからです。

会計監査人

会計監査人は、原則任意で設置する機関ですが、大規模一般社団法人では、必須の機関となります。
大規模一般社団法人とは、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である一般社団法人をいいます。
大規模一般社団法人以外の一般社団法人が任意で会計監査人を置くことはできますが、その場合は監事も必ず設置する必要があります。
会計監査人は、一般社団法人の計算書類及びその付属明細書を監査する職務を有する者です。

設立時役員の解任

設立時社員は、一般社団法人の成立のときまでに、設立時役員等を解任することができます。

【解任の場合の要件】

設立時理事・設立時会計監査人設立時社員の議決権の過半数
設立時監事設立時社員の議決権の3分の2以上

この場合、社員は1人につき1個の議決権を有しますが、定款でこれとは別段の定めをすることもできます。(特定の社員の議決権を2つにするなど)